2011年1月27日木曜日

EA開発に使える論文がタダで読める。 「京都大学学術情報リポジトリ KURENAI紅」のススメ

以前このブログで、少しだけ紹介した「フラクタル」(高安秀樹:朝倉書店,1986)という本だが、これとほぼ同じ内容が京都大学のサイトから無料のPDFデータとしてダウンロードできることがわかった。
京都大学学術情報リポジトリ KURENAI紅」というサイトで、論文や紀要などが無料公開されているのだ。
この中で、「物性研究」という論文誌の解説論文として1985年に掲載されたものが公開されている。「フラクタルの物理」というタイトルで97ページにも及ぶが、内容はわかりやすく、フラクタルの入門書としては最適だ。
フラクタル次元の求め方など、丁寧に解説されており、エキスパートアドバイザやカスタムインジケータの開発にも応用できそうである。特に、株価の変動に関する記述もそのまま書かれている。
もともとは著者ご自身の学位論文としてまとめられたもののようだが、1985年に「物性研究」に掲載後、1986年に朝倉書店から単行本として出版され、これが好評となり第2回日刊工業新聞技術・科学図書文化賞を受賞されている。
これが無料で読めるのだから読まない手はないだろう。
このPDFファイルだが、スキャナで画像データとして取り込まれているようなのでKindleにそのまま転送しても読むことができる。ただし、1ページ目のKURENAIで付加された情報は、フォントが埋め込まれていないので、Kindleでは文字部分が表示されない。そもそも、これは管理用のページなので論文を読むには関係ないだろう。
ちなみに、本のほうは2010年に新装版として出版されているようだ。内容がどれほど更新されているのかは未確認だが、本のほうが書き込みながら読めるので好きだという向きには購入をおすすめする。安い本ではないが、手元にあって損にはならないだろう。
また、その他にもKURENAIからダウンロードできるおもしろそうな論文を検索すると、下記のようなものが見つかった。

状態のフラクタル次元を用いたカオティックな系の解析(松岡隆志:数理解析研究所講究録,1997)
http://hdl.handle.net/2433/60912

この中で、PDFのP9(誌のP167)から「状態のフラクタル次元を用いた株価変動解析」という項がある。
ここでは株価そのものではなく、株価収益率を対象としているが、複数の企業について、度数分布を取る期間を1年間、2年間……13年間と変えて、エントロピーとフラクタル次元の変化を比較している。
結果のグラフを見ると、期間が長くなるにつれ、エントロピーは企業が違っても同じ値に収束していく。つまり、短期間にはかなり複雑に変動している株価も、長い目で見ると複雑さは、ある一定の幅に収まるということだ。
しかし、フラクタル次元は期間を延ばしても収束しない。しかも、その変化には周期性がみられる。これは、微視的に見ても、巨視的に見ても、株価のばらつきは収まらず、且つ周期的に変化しているということになる。
これは、たぶんFXの世界でも同じことがいえるのではないだろうか。もしそうだとすると、こんな説明はできないだろうか。

  • 長期的に見れば、複雑さが特定の範囲に収まって見えるので、ある程度規則を決めて売買すれば儲かるような気がする。これはエントロピーの収束
  • また、ある評判のいいエキスパートアドバイザが、ベンチマークでは好成績を上げているのに、自分が実際に使い始めると散々な結果に終わってしまう。フラクタル次元は収束せず変動している
  • ある程度の資金を投入し、長期間に渡って使い続けると成績が上がってくる。フラクタル次元の変動には周期性がある

もしそうなら、フラクタル次元を意識したエキスパートアドバイザを作ればいいのかもしれない。

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